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今回は特色が印刷できる工場を見学させていただきました。
— てさげネット編集部 見学レポート
前回の潜入レポート(輪転紙袋印刷製袋工場)はこちら:
https://www.tesage.net/blog/rotary-bag-making-factory/
今回の見学ダイジェスト動画(YouTube Shorts):
https://www.youtube.com/shorts/fCigvZ37T20
そもそも「プロセス(CMYK)」と「特色」は何が違うのでしょうか?
紙袋やパッケージの色表現には大きく2つの方式があります。
プロセス(CMYK)はシアン・マゼンタ・イエロー・ブラックの4色インキを微細な網点で重ね合わせ、網点の掛け合わせによって広い色域を再現する方法です。写真表現や多彩な色が必要なときに使われる印刷方法で、多くの量産印刷に対応し、どの工場でも基本対応できる今主流の印刷方法です。
一方、特色印刷は、刷りたい色をインキ段階で調合して単独の色として刷る方式です。PANTONE®やDIC®、TOYO®といった色見本体系に対応し、企業のブランドカラーの再現性・安定性に強みがあります。またCMYKでは再現が難しい濃厚なビビッドカラー、メタリック(金・銀)、蛍光色などはそのイン気を使う特色でしか印刷できません。
デメリットとしては、色ごとにインキの調合・洗浄が必要で手間がかかることです。だからこそ近年、特色までしっかり対応できる工場は減少しています。特色(2色機)の工場は現代では希少性が高いのです。
工場の扉を開けると、ふわっと立ちのぼるインキの匂いと稼働する機械音。作業台の横にはインキの缶がずらりと並び、手書きの紙ラベルにはお客さま名や案件名、色番号が並び、過去の仕事で使ったインキがきれいに取っておかれています。次回の刷りでも同じ色をすぐ再現できるように取っておくものですね。特色工場ではよく見る、あの景色です。
インキの調整は昔ながらの“手でこねる”やり方です。こねて色ムラがなくなったらヘラで少しすくって、紙片にのせて目で色味を合わせます。ここが特色の勝負の第一関門です。ここで違えばまた別の色味のインキを加え調整をしていきます。ここには職人の蓄積された感覚と経験があります。
見学の雰囲気は動画でも:
https://www.youtube.com/shorts/fCigvZ37T20
ガシャコンとローラーが回り出すと、場内の空気が少しだけピリッとします。まずは、色同士の見当を合わせるために用紙は本紙ではなく「ヤレ紙」と言われる過去に使った用紙の裏紙等で通していきます。ここで本紙を使っていってしまいますと本紙がいくらあっても足りなくなってしまいます。そして見当もあったところで本紙を数枚通していきます。
ここで先ほど調合したインキが実際に用紙(本紙)に印刷されてきますが、一旦ストップして色の確認に入ります。一発でOKとなればいいのですが、特色印刷ではほぼないといってもいいでしょう。色が薄い、濃い、赤が強い、青が強い・・・さあインキの色の修正です。
方向性がそこまで間違っていなければ、いま載せているインキに足りない色を足していきます。ですが、あまりにも方向性が違う、あるいは濃すぎる場合には、インキを一旦すべて取り出すことも。そして先ほど同様、手でインキをこねていき、紙片でチェック。よければ再度機械に乗せていきますが、ここで大切な作業があります。先ほど通したブランケットには先ほどのインキがついていますのでブランケットを綺麗に拭き取り、新たな色が濁らないようにしていきます。このような地道な作業により指定の特色が印刷されていきます。
またインキを受ける用紙によっても色に見え方は変わってきます。同じインキでも紙が変われば見え方が変わるので、その用紙に合わせてインキの調整も必要となってきます。さらには、「ドライダウン」と呼ばれる現象も起きてきます。これは印刷直後と時間を置いた際に色味が若干変わることを意味します。乾燥するとだいたい色味が沈む傾向にあり、刷り出し直後には色がバッチリ合っていても時間が経過すると多少沈んだ色に変化することがあります。お客さんの手元に渡るのはもちろん乾燥した後ですので、これも計算の上、印刷をしていきます。うーん、奥が深い。
今回は特色を印刷できるマチ工場を見学させていただきました。
最新鋭の巨大設備があるわけではありませんが、棚に並んだインキ缶、手でこねる職人技、ブランケットを綺麗に拭き取る地道な作業・・・・。
指定の色に限りなく近づける執念。再版では前回出した色を今回も再現することへのこだわりがありました。
そしていま、特色をきちんと扱える工場は希少です。だからこそ、こうした地道な町工場がブランドの命でもある統一された色を支えているのだと実感しました。紙袋は“持ち歩かれる広告”です。そしてブランディングにはこの色へのこだわりが非常に大事です。派手さはないけど、身近なマチ工場にはこれからも残していきたい職人の技がありました。
工場潜入ダイジェスト(YouTube Shorts):
https://www.youtube.com/shorts/fCigvZ37T20
前回の潜入レポート(輪転紙袋印刷製袋工場):
https://www.tesage.net/blog/rotary-bag-making-factory/